Knight with his hand on his chest

「カリナのディルガンの子アルサールよ!」

天道院騎士団の総長が、跪いた騎士見習いに向かって大声で問いました。

「汝、ここに騎士の誓約を立て、天道院騎士となることを望むか?」

一方の騎士見習いも、負けず劣らずの大声で答えました。

「はい、総長。すべては星の導くままに」

すると総長は続けて問いました。

「汝、あらゆる欲を棄て、大いなる均衡のために、また大いなる光王のために、剣となり盾となることを望むか? また、大いなる光王によりて任ぜられた騎士団総長の命に従い、臆することなく邪悪との戦いに赴くことを望むか?」
「はい、総長。すべては星の導くままに」

そこで総長は一旦問いかけを止め、星堂内を見渡しました。

「さて各々方! これなる若者は栄光ある騎士団の一員として、 我々の仲間に加わることを願っておる。誰ぞこの若者が騎士の栄光に相応しくないと知っている者があるか? あれば速やかに申し出よ!」

しかし、誰一人として異を唱えるものはありません。
総長はもう一度問いかけて誰も応えないのを確かめると、大導師に剣の柄を差し出しました。
年老いた大導師は恭しく剣を取ると、若き騎士見習いの肩を軽く打ちました。

「汝が上に大いなる光あれ」

晴れて騎士となった若者は恭しく剣を受け取ると、大導師の手を取り、大きな赤い石のはまった指輪に口づけをしました。そして慎ましく胸に手を置いて、真っ直ぐに前を見据え乍ら、小さく祈りました。

「我が父なる天の君よ、我に影に立ち向かう力を与え給え」