The Azure corridor

「目に見えるものすべてが真実とは限らないのだよ」

王さまはそう云って、空色の目を大きく開きました。

「目に映るものは、とても歪みやすいものなのだ」
「どうすれば真を見抜くことができるのですか?」

王子さまもやはり空色の目を大きくみはって問いました。
対する王さまは目を閉じて、ゆっくりとこう云いました。

「己の目を過信しないことだ」

首を傾げる王子さまに、王さまは微笑みました。

「目など見えぬ方が、よく見えるものもあるのだよ」

「父上のおっしゃっていたのはこういうことだったのか」

王子さまはピッと背筋を伸ばしました。

「あれが私の行くべき道ならば、恐れてはいけない」

両の手を固く結ぶと、少し力がわいてきました。

「待ち構える真実が、どのようなものであろうとも」

そうして真っ直ぐ前を見据えて、青い光の中を進みはじめました。